今回は、CAとして働く中で感じた「CAに向いている人」の特徴・要素について、精神論ではなく、現実的な視点から分析していきたいと思います。
なお、今回は「CAに向いている=CAとして評価されやすい、働きやすい」と定義づけ、お話していきます。
この記事を読むと、
- 実際にCAに求められる能力や要素がわかります。
- 自分がCAに向いているか、客観的にみるヒントになります。
- CAの世界の文化や空気感が垣間見えると思います。
CAを目指している方、CAに興味がある方の参考になれば嬉しいです。
素直さ
『素直であること』それは客室乗務員として勤めるにあたり最も重要な要素です。(特に国内の航空会社)
なぜなら、客室乗務員という職業の大部分は接客であり、接客の正解は「相手の感じ方」の中にあるからです。
作品や数字ではなく、「相手の感じ方」に正解がある客室乗務員において、人の意見を真摯に受け止める姿勢や、「感じがいいな」と感じさせるような人柄は、求められる能力そのものともいえます。
ですから、「素直さ」は、成長する為にも、会社で評価される為にも、一番重要な要素なのです。
逆にいうと、この「素直さ」を欠くような態度や行為をみせると、その瞬間印象が悪くなり、イコール評価が悪くなるという側面もあります。
ここで、みなさんもうお気づきかもしれませんが、CAに求められる素直さは、少し限定的な意味です。
CAの世界における素直さとは、思ったことを思ったままに伝えるような素直さではなく、相手(目上の方)の意見を受け入れるような素直さをさします。
「素直さを欠くような態度や行為」の背景に、それなりの理由や事情があったとしても、それは考慮されません。
どんな理由であれ、「素直でない態度をとった」その事実がすべてであり、それは「良くないこと」とみなされます。
それは、いってみれば、「おもてなし」を極める集団の宿命なのかもしれません。
「おもてなし」の世界では、お客様のどんなお言葉も、受けとめ、吸収し、生かすことが大切であり、そこに「でも...」「だって...」はありません。
だから、どんなに理不尽と思えても、言いたいことがあっても、
「はい。失礼致しました。」そういえるような、ぐっとこらえる忍耐力・柔軟性・受け流す力、そういうものが背景にあるような、広い意味の「素直さ」が必要なのです。
先輩の懐に入る力/魅せ方が上手
素直さを大切にするおもてなしの世界は、まさに年功序列です。
おもてなしの力を(直接的に)証明するような資格や数字なんてものはないので、実力主義という考え方はありません。
「経験を重ねた上のものから学ぶ」という文化であり、下の者の「おもてなしの力」は上の者によって測られます。
おもてなしの力って、数値化できませんし、おもてなしの成果って、制作物にして提出することはできません。
本当のおもてなしの成果というものは、お客さまの満足感や笑顔なんでしょうが、そういうものはおもてなしをしている本人にしかわからない部分があります。そして、それでいいのだと思います。
ですが、おもてなしを仕事にしている集団において、そのおもてなしの力を評価する必要が出てきます。
本当は評価するのはお客さまであるはずですが、お客さまからのフィードバックはなかなか数値化出来ないため、実際のその力の評価者は上司ということになるのです。
機内で同じようにおもてなしをしている者同士の評価ですから、当然ありのままのおもてなしの評価はできないわけです。
では、その際、重要になってくるものは何か?
それは「相性」そして「魅せ方」です。
人にはそれぞれ相性というものがあります。例え良い人同士であっても、なんとなく嚙み合わないということがあります。
距離感、仕事の成果のアピールの仕方や頻度、本音と建前の線引き、仕事とプライベートの線引き、そういう様々な面で、人それぞれ心地よいと感じるラインが異なります。
それがお互いぴったり合えば、イコールおもてなしの力があると評価されやすく、
そこにずれが生じれば、なんとなく評価が伴わない、そんな傾向が少なからずあります。
難しいなと感じますが、、、これは、「人の感じ方」の中に答えがある接客業の宿命ともいえます。
ですが、、、いちいちそういう「相性」に頼り、ありのままの自分で働くということは、運試しゲームのようなものです。
その対策法として、「上司の懐に入る/魅せ方を心得る」という工夫があります。
実際に、それぞれの先輩との接し方や好意的に感じてもらえるような態度を心得ているような、勘の良い人がいて、そういう人は、やっぱり評価されやすい気がします。
ここには、俗にいう「媚びる」という要素も含まれます。
そこには打算的な考えがあるかもしれませんが、それは数値化されない世界で生きる者の努力の1つとも言えます。
「媚びている」とは、あまり良いイメージがないかもしれませんが、
「媚びることができる人」は、必ずしも悪ではないと思います。
一方で、潔白な人や不器用な人は、そういう打算的なアプローチが苦手という傾向にあり、そういう人の良さは上司に伝わりづらいという側面も否めません。
もしも上司が同じように打算的なアプローチが苦手な方だったら、一生懸命仕事をしている不器用な人、潔白な人、純朴な人の良さを見つけてくれるでしょうが、
やはり、上司の目に映らないお客様への丁寧な対応や、仲間への貢献はなかなか伝わりづらく、さりげないアピールや魅せ方が上手だったり、上司と相性がいい人が評価されるという傾向は否定できません。
成果を数値化できない客室乗務員の難しさともいえるでしょう。
逆に、せっかく頑張っているのに、アピールのし過ぎで、印象が悪くなり、評価が伴わないという逆の影響も考えられます。
数字や制作物など目に見える成果がないおもてなしの世界において、
- 上司に自分の努力や成果のさりげない(嫌味のない)アピール
- それぞれの上司に合わせたアプローチ
- 上司の懐に入る力
そういう勘の良さやバランス感覚が必要であるということも理解しておくといいでしょう。
しっかりしてると言われる
先程の内容と少し被る部分もあるかもしれませんが、
客室乗務員は、毎回違ったメンバーでフライトをし、たまに自分の上司と飛ぶ、その中で発揮したお台所での業務の技能やおもてなしの力をはかられ、評価されていきます。
まとめると、環境は以下の通りです。
- 毎回直属の上司とフライトするわけでなく、初めましての方とのフライトも多い。
- 目に見える成果(数字や制作物)があるわけではない。
- 同じタイミングでサービスしている上司に評価される。
つまり、比較的少ない頻度で、お互いがサービスを行っている慌ただしい状況の中で、上司の目にどのようにうつるのか?それが評価における環境となります。
そのような状況で大切なこと、それは「いかに良い印象をつけられるか」という部分です。
ここでいう良い印象とは、
- しっかりしている
- 安心して仕事を任せられる
といったものです。
機内での業務やおもてなしという、瞬間的で数字や成果物が残らない仕事において、定量的に評価するということが難しい為、印象/魅せ方が重要
となります。
同じ業務をしていても、同じミスをしても、
その人の人柄やキャラクター、魅せ方によって、
残る印象は変わってくると思います。
そういう意味で、素のキャラクター的に「しっかりしている人」と「あわてんぼうだったり、おっちょこちょいだったりする人」がいた時、
前者の「しっかりしている」人の方が評価されやすいという傾向はあります。
いかがでしたでしょうか?
今回は、CAに向いている人の特徴・要素について、CAの仕事や文化を絡め、評価という視点に重きを置いてお話してみました。
色んなお話をして参りましたが、最後に言いたいのは、
私はCAになってよかったと思っています。
そして、CAになって素敵な先輩方・同期・後輩たちに出会いました。
ということでしょうか?